limeのトラブル・トラベル・ その2

2007年7月毎年春になると、国際ホルン協会のワークショップとかシンポジウムの詳細が発表されるが、毎年どうせ今年も行けないやとたかをくくっていた。ところが今年はなぜかひょうたんからこま、棚からぼた餅で突然行くことになってしまった。

7月12日(木)

昨日はやけに部屋が寒いと思ったら、窓が開いていた。お布団かぶっても寒い。本当にここは寒いたぶん10度ないと思う。なので4時ごろ目がさめてしまった。

朝会場に行ってみると、だれからブルーノシュナイダーがレッスンをしているから見にいかないかというので、付いていった。ドアを開けてみると中は全員日本人。今日本で一番人気のある先生かもしれない。それは、やはり今日本を代表する中堅のM君やT君がシュナイダー氏に師事していたこともあると思う。そして英語を日本人にわかりやすく、ゆっくりしゃべってくださる。レッスンはモーツァルトのホルン協奏曲第4番1楽章。

まず、モーツァルトはアーティキュレーションが大事だとおっしゃる。左の楽譜を見ていただくとわかるが、モーツァルトのホルン協奏曲の中には、16分音符が並んでいるとき、最初の2つの音にスラーをつけ、あとの2つはスタッカートという形が多い。これはバイオリン協奏曲や交響曲のバイオリンのパートでもよくお目にかかる。ピアノの作品ではあまりないように記憶しているが、、、このスラーとスタッカートを引き分けるのがコツだとかんがえていらっしゃるようだ。そのために、こういう練習をした方がよいとサンプルを示してくださった。

またその頃の楽器で(ナチュラルホルン)吹くときのことを考えても、このアーティキュレーションは欠かせない。バイオリンでもこの形は、簡単なようで難しいようで、特に最初の音の発音と4つ目の音がむずかしい。生徒さんもなかなかうまくいかないようなので、先生は、歌ってみてとおっしゃった。最初をあまりアクセント付けすぎてもいけないし、かといってあいまいな発音でもいけない。うたってできれば、楽器でもうまくできるはずと先生はお考えだ。

そこで先生は概して日本語は、口をあまり大きく動かさない言語だから、意識して発音するように。昨日のMRIの映像の例をだして、舌をあまり大きく動かさないようにとおっしゃった。

そのときちょっと残念だったのは、MRIの映像をみた生徒さんたちがいなかったということ。自分の体がどのように動いているのか、見たくたって見れないのだから、いいチャンスだったのに。言葉はたとえよくわからなくても(いや今の学生さんたちは私たちの世代に比べてよくわかっている。英語の授業に聞く、話すが増えたから)おもしろい授業?だった。先生もとても感動されていたようで翌日のレッスンでも話題に上げていた。

次にテーマに入る前の序奏。ここはまず強弱をつけずに、すべてタンギングして演奏する。その次に似たような2つのフレーズはどの音が一番重要かと質問された。そのときに先生は「ドミナンテ」という言葉を強調されていた。譜面では☆印のついている音が一番大切である。なぜならばドミナンテだからというような言い方をされていた。ドミナンテつまり属和音(5度の和音)である。漢字で「属」という字を当てたのはなかなか的を得ている。

この時代つまり古典派とバロックの和声の違いは、調性の確立と発展であると思う。バッハにおいて24の調すべての曲がかかれことにより、調性の認識が高まった。転調の仕方も平行調だけでなく、ベートーベンの作品に見られるように、あまり関係ない調への転調がしばしば行われるようになっていく過程にあること。また音楽の形式からみてもフーガ、ソナタ(交響曲)においては、テーマ、主題が戻る前には必ず属音を低音で保持するなど、属音、属和音の存在がかなり重要視されてきた時代である。

フレーズのどの音が大切かという考えは、私が師事した先生皆がよくおっしゃていた。しかし何故その音なのかというはっきりとした意見を述べられたのは先生がはじめてかも知れない。ドミナンテということでモーツァルトの作品を見ていくと、なるほど合点が行く。たとえば4番のテーマは3小節間トニック(主和音)が続き、4小節目でドミナンテ(属和音)となる。当然このフレーズも4小節目の実音のFが大切な音になる。また、その大切な音に向かってクレッシェンドするのではなく、気持ちを持っていくという言い方が私は好きだ。これは音量の問題ではなく、フレーズつまり文章の読み方、歌の歌い方の問題である。

5、6小節目は、スラーをつけないで吹く。なぜならば、ナチュラルホルンで吹くときのことを考えると不自然だから。7小節目の高い音をあまり意識しないで吹くこと。高い音ははずしたくないし、完璧に出したいと思って吹くとやっぱり聞いている人にはそう聞こえる。音楽ではなくなってしまう。また指はあまり動かさない。(キーからあまり離さないように。)またこの生徒さんの場合は、指と舌が連動していないので、どうしても実音のド、レ、ミ♭のどこかの音が転んでしまう。相前後するが、16分音符のスタッカートの音、特に4番目の音は意識して吹いたほうがよいとおしゃっていたが、これはケンデル・ベッツ氏も同じ事を言っていた。おそらく実音レの音をしっかり吹けば(発音する、息を入れる)うまく行くとおもった。

このレッスンでは、主にアーティキュレーションのことを指摘していたが、これは本当に難しい。普段音階の練習をするときに意識してやるしかない。あとコプラッシの4番、9番、10番などは、とてもよい練習曲なので、毎日取り入れていこうと思った。また日本語の持つ特有の問題。特に舌をあまり意識しないで喋れるのでホルンを演奏するときは、意識して使うようにしないといけないのではないか思った。ただあまり動かしすぎてもいけないので、そのあたりは自分の耳でききながら、やっていくしかない。

11時からは、ナチュラルホルンカルテットの演奏があった。バーゼルの"I puntini"という団体で、ギャレイのあのむずかしい四重奏曲。多分ナチュラルホルンでやるほうが、今の楽器でやるよりすこし楽なのかなという印象を受けた。

演奏はギャレイ1曲だけだったのでなんとなく物足りなかったが、お昼前のひと時にはちょうどよかったかもしれない。早く終わったのでMIGROSにまた行って、お昼を探した。今日はラザニアが4スイスフランでおいしそう。お店の人も慣れたのか、英語の身振り手振りでも笑顔で接客してくれる。ありがたい。笑顔だけでこんなに心がなごむんだあと思った。

午後1時からは、明日のアンサンブルの練習。2回目だからお互いの顔も知れて、和気藹々の雰囲気の中、日本のトップスターたちが勢ぞろいした中で練習するから、結構緊張する。みんながいろいろなアドヴァイスをしてくれるし、スイスにきてからうまいホルンをいやというほど聞いているせいか、耳が肥えてきた。また石造りの建物のなかで音をだすので、日本の防音付きの部屋と違い、楽に音をだしているからだろうか、音が綺麗だ。

3時から、今度は別のナチュラルホルンカルテットがすべて近代現代にかかれた曲を何曲か演奏した。ナチュラルホルン4本と普通のフルダブルホルンを持ち替えて演奏する曲もあった。詳細を終わってすぐ書き留めておけばよかったのに、こんなに日が経ってしまっては思い出せない。一曲とても良い曲があったが、、、ベルン交響楽団のソロホルンでChristian Holensteinという人、1973年生まれというから今年40歳かな、彼は後に書くチーズフォンデュのときは会計までやっていたが、この人普通のホルンもうまいし、ナチュラルホルンもうまい。日本ではまったく知られていない人だけど、音もいいし、何気ないフレーズをさりげなく吹いてしまう?オケマンだと思った。このシンポジウムは毎日のように演奏していたような気がする。

5時近くにコンサートが終わり、明日のJapanHornEmsembleの打ち上げ場所を探しに街をぶらぶらした。スイスに来てやっと日差しがでて、さわやかな日になった。日本の時計(シチズンや、セイコー)が有名になる前はここが時計の街として有名だったそうだ。だからこの街の人は日本人がきらいなのだとか。(本当かな)

夜7時からのコンサートはすべてナチュラルホルンの曲ばかりであった。そう、今日木曜日はナチュラルホルンの日。朝から晩までナチュラルホルンばかり。でも今までのイメージががらっと変わってしまった。なにしろナチュラルホルンといえば、モーツァルト時代またはそれ以前の作品しか聞いたことがなかったから。午後のコンサートの作品は皆1900年以降のもので、こういう作品も日本でどんどん紹介していったら良いとつくづく思った。

さてトップバッターはいささか気の毒な演奏であった。次の曲はお口直しという感じでなかなかよかった。でも同じことの繰り返しで長い。曲自体は?かな。

前半のピアノはおそらくちょっと前のピアノ、ショパンとかが使っていたようなちょっと音が地味。このピアノのおじいさんをひいていたピアニストが、なんとも私にはちょっと?のひとだった。後半Javier Bonetがブラームスのホルントリオをもちろんナチュラルホルンでやったのだが、ピアノが「これ、同じ曲?」と思ってしまうほど私のイメージから遠い解釈だった。4楽章の最後なんか弾けているんだけど、なにかが違う。となりで聞いていらしたMさんに、「やっぱりブラームスのホルントリオのピアノは、およびさんが一番うまいですね。山形を思い出しました。」といったら、「お墓のブラームスが怒っているよ。」とおっしゃって席を立たれてしまった。ほとんどのお客さんたちは、拍手喝采であったが、私はとても拍手をする気になれなかった。3楽章のピアノのグリッサンドがゲーム音に聞こえて「あれ?」と思ったのは私だけだろうか。

ちなみに後半は現代のピアノを使っていたが、音がなんとなく軽くて1楽章の最初の和音なども、ポンポンとおかれていくような感じだった。昔、レッスンでこのピアノは、人の足、ゆったりと森を散歩しているんだよ。と教えていただいたことがあったから、そのイメージで聞いてしまうと、あっさりしすぎていたし、中間部8分の9拍子のところで、半音がどろどろ渦巻いているところなどもさーっと通り過ぎてしまった。今の若い人たちはこういうブラームスがすきなのかな?

なんだか不完全燃焼なコンサートでおわった1日だった。

7月11日(水)

昨夜はよく眠れた。7時におきてホテルの朝飯はなにがでるのだろうと、わくわくしながらいったら、パンと飲み物だけだった。(ガクっ)これだったら、朝飯は自分でサンドウィッチ買って食べたほうがよい。外は寒い。時折雨がぱらついている。

9時から音楽医学?という新しい分野のお医者さん?がMRIでホルンを吹いているときの舌、喉、胸の様子を見た(もちろん体内)写真を見ながらのお話があった。昔からよく言われていた、舌の位置、息を吸ったときや演奏中の胸の様子を説明していた。今までなんとなく言われてきたことが実際の様子をみて改めてわかった。心臓は左にいつもあるというのは間違いで、結構動いている。これは新しい発見だった。

お昼は昨日見つけた近くのお惣菜屋さんにいったら、ご飯、肉、ミニキャベツで11フラン。一回では食べきれない量なので、夕飯もこれにした。そうすれば550円リーズナブルである。暖かい食事を久しぶりにいただいた。

1時から、金曜日の午後のコンサートの練習。若い人たちばかりだったが、久しぶりのホルンアンサンブルでたのしかった。音大生がほとんどだが、どうなんだろう。楽譜を見てフォルテはなんでもフォルテに吹いちゃう?それだけはやめようね。フォルテにもいろいろあるよ。それから自分が迷ったら、音量を下げて人が何をしているか、良く聞こう!人が何をやっているかわからないくらい自己虫はいけない。でも1回目の練習でこれだけできるのだから、これきりっと言うのも惜しいねえ。東京でもやりたいねえと磯部君とはなしていた。

3時から、日本代表竹村君と丸山君の演奏。竹村君のたどたどしい英語から彼の温厚な人柄が伝わってくる。小林健太郎氏の「里山の歌」なんかとてもホームシックになってしまった。あまりにも日本らしいメロディーと和声で日本人以外にもうけていた。丸山君の詩曲「魂を呼ぶ」−東洋からデニスブレインのためにと題されたホルンとほら貝の曲、すばらしかった。ピアノの弦、反響板をつかって幻想的な雰囲気をかもし出していた。ほら貝は、なにか神々しい楽器だと思う。音が出ると私たちは何かに取り付かれたように、別世界に入り込んでしまう。ピアノのアコースティックな使い方がとてもよかった。(丸山君に聞いたら、自作自演だとか。ピアニストにはとても助けていただいたとのこと)

MIGROSというスーパーに行って、水とフルーツジュース(口内炎があちこちにできているし、喉も痛い。完全にビタミン不足なので)をかごの中に入れ、カットフルーツが25%オフになっていたのでそれもいれ、日本では高くてあまり食べられない、チーズをひとつ入れてお会計は7.1スイスフラン。まあ納得がいくか。ホテルで昼ごはんの残りを食べ、フルーツをデザートにした。

夜のコンサートは弦楽器を交えた室内楽:まずトップバッターはベルリンフィルのサラに劣らず美少女系?Eliz Erkap彼女は1977年生まれの今年30歳、ブルーノシュナイダーにその才能を見出され、教職を捨て、現在国立フランドールフィルハーモニーの主席。モーツアルトのホルン五重奏を演奏した。伸びやかな音色、安定した技巧、自然な歌いまわし、モーツァルトが聞いたら、喜びそうな演奏だった。周りはみんなうまいといっていたが、私にはいい子守唄の域をでなかった。

次はIvo Gass 彼はルツェルン生まれ、ブルーノシュナイダーの弟子で現在ミュンヘンフィルの主席。Jost Meierの'Cordono'ホルンと弦楽四重奏のための作品が演奏された。演奏に先立ち、作曲者自身による曲の説明?がフランス語で紹介された。フランス語も聞いているとなんとなく、わかりそうだけど、勉強していないからまったくお手上げ。始まりが歯にしみるバイオリンのエンハーモニックで始まり、なんだかねてしまった。(時差ボケと疲れのせいにしておこう)

休憩を挟んで、ブルーノシュナイダーのホルンと弦楽三重奏による、作曲者不明の作品。ご本人がとても難しい、高い音ばかりで大変な曲だと紹介したとおり、バロック後期か古典派前期のスタイルのこの作品は、五線譜の上ばかりバイオリンの代わりのようなホルンパート。しかし、シュナイダーといい、ロイドといい、人生の辛苦を味わったと思うこの年代の人たちの演奏には、なぜか心惹かれるものがある。単なる技巧的うまさだけでなく、琴線に触れるというのだろうか。

当夜のトリは、フィンランドのエサタパニとElizが再び登場してベートーベンの6重奏を演奏した。なんか早く指が回って、高い音、低い音がでて、それでなんなの?ほとんどの人はそういうところに魅力を感じるようだけれど、私には、よくわからない。確かに2人はうまいけれど、スタイルは違うし、決してお互いが共鳴しているとは思えなかった。ホルンが2本で私がうまいわ!俺がうまいぞ!といっているような演奏だったし、弦楽器もなんか雑な感じだった。リハーサルに時間が取れないのが一番の原因だろう。コンサートが終わり、ホテルに戻って、ワインをのみながら、買ってきたチーズを食べた。うまい!やっぱり本場スイスのチーズはうまい!

7月10日(火)

ドイツ時間の夜10時(日本時間朝5時)寝たが、夜中の2時ごろばっちり目が覚めてしまった。しょうがない日本は朝だから。それからうとうとするうちに今度は目が覚めたら6時5分前、これは大変。あわてて支度をして駅に向かう5分前についたので、朝ご飯にモッツアレラとトマトのサンドと、水を買う。

このサンドの中に入っていたバジルがとても新鮮でおいしかった。トマトも、チーズも!チーズはこれだけの量を日本で買ったら、500円以上はするか。でも混じりけがなくて、これでワインでもあったら、最高とおもえるようなチーズだった。パンは、雑穀系(黒パンではない)で、ゴマがたっぷり。結構大きいので、最初は全部食べられるかなと思ったけど、朝一番荷物を部屋からおろしていいエキソサイズをしたので、たいらげてしまった。

ユーロは本当に高いと思う。日本で150円くらいのエヴィアンやヴォルヴィックがここではだいたい2ユーロ400円。日本円が弱いと思う。

本当はヨーロッパやアメリカから見たら実勢なのかも知れない。たとえば、ドイツなどは、コンビニの類がないらしい。これでどれだけ電気代等が節約できるか知れない。地球温暖化対策とかいっても日本はどれだけのことをしているのだろうか。そして産業はどうなのか。日本はサービス残業で持っている会社があれば、たくさんのニートがいて、仕事がない中高年がいる。ヨーロッパはみな必死なのではないか。生きることに必死なのではないか。そんな思いが感じられる。厳しい自然と、宗教(民族)との戦いの歴史の中を生きてきたヨーロッパ人には、自分の生活を守ることに必死なのだろう。豊かな自然と、海に囲まれて、外からの襲撃を恐れることなく過ごしてきた歴史の国とではおのずと違うのだ。

では日本はどうするべきなのか。私はとても否定的である。どうにもならないと思う。世界でもっとも成功した社会主義国家だから。マスコミに先導され、踊らされている国民は改革などという言葉を好まない。

5時間乗り換え2回(バーゼルとビルン)でやっとLa-chaux-de-fondsに着く。フランス語圏なのでフランス語しか通じない。英語やら日本語やらごっちゃにしても最後にメルシーボークーって言うとみんな微笑んでくれる本当にありがとう。さすがに5時間列車の旅は疲れた。なにしろ言葉がわからないし、物盗まれたらいかん、隙を見せたらあかんと思うから、一睡もできない。でものどかなスイスの田園風景をみてたら、とても心がなごんだ。

昼過ぎ最終目的地のLa-chaux-de-Fondsに到着。春に行った小樽駅と同じくらいの大きさ。駅で両替して、ホテルに荷物を預けて、会場へ。ホテルは駅から10分くらい。会場まで15分くらいかかる。本当にちいさな宿屋で、マダムが一人でやっているようだ。清潔にしてあるが、これで日本円7000円というのはどうなのだろうか、フランクフルトのホテルは普通に泊まると100ユーロのところをJALのホームページから検索して予約したので、6500円だった。一応シャワーとトイレがついていた。

10年近く前にケンデルベッツのキャンプで知り合ったナンシーがいるではないか、久しぶりのハグ。うれしいね。おぼえてくれていたし、また助けてくれて本当にありがとう。朝たべたサンドウィッチがまだおなかにあるので、昼ご飯抜き(スイスフランも100円なので安くない、この旅行は倹約しないと本当に破産してしまう)

結局、登録料は、Pay-Palがまだ!使えないので現金で払うことにした。一見便利なようだが、悪用を防ぐためとはいえ、なんか後味がわるい。

15時からの演奏会:現代作品の間にアンサンブルが入ってなかなか楽しめた。中学高校生のアンサンブルで「キャッツ」抜粋をやった。これはいいなあと思った。後半はアメリカのテキサス州から来たTamak Horn Ensembleによるウエストサイドストーリーなかなか楽しめた。アレンジは8重奏と4重奏の組み合わせで発想が斬新だった。

ここスイスに限らず多くのヨーロッパでは6時になると店が閉まるので夕食の買出しに行った。水、チーズ、ワインとオリーブこれで夕食は済ませるつもり。

夜7時からの演奏会:すばらしかった。トップバッター、Jean Pierre Berry1968年生まれというから37歳、品の良い、洗練された音楽家、とてもおいしいチーズをいただいているような演奏、曲もロマンチックで叙情的な良い作品。

2番バッターSzabolcs Zempleni彼はハンガリーを代表する若手、ミュンへンのコンクールで一位になった人、一口で言えばホルンで吹いているとは思えない、まるで歌をうたっているみたいに表現が自然で、抜群のテクニックと耐久力。バルトークのハンガリアン舞曲はやはりお国の曲なのか今まで聞いた中でいちばんしっくりとくる演奏だった。

休憩をはさんで、Samuel Seldenberg彼は今ドイツで若手でもっとも才能のある人で、フランクフルト放送交響楽団の主席を勤めている。ヒンデミットのホルンソナタを演奏したが、ピアニストの考えとホルン吹きの考えが食い違っていたのかかみあわなかった。確かにピアノのパートはとても難しいのにかかわらずピアニストは良く弾いていたにもかかわらず、フレーズのとり方が違っていたのだ思う。

最後のトリは、フランクロイド。京都できいた、バッハのトッカータとフーガ二短調。プーランクのエレジー、そしてアンコールにやはり京都のアンコールHappy life?をやった。調子が今ひとつなのか、バッハの一番最初の音をはずしてしまったし、プーランクはピアニストとやはりかみ合わず乗り切れないやりきれない演奏だった。最後の曲も京都の方がのりがよくて、気持ちよく聞けた。しかしさすがはホルン界のトップを行く人で会場も、盛り上がって終わった。

それにしても今回は日本人のピアニストが3人参加している。どの人も個性豊かで、技巧になんら問題もない。なんだか同じ日本人としてうれしい限りである。夜部屋に戻り、買ってきたオリーブとチーズにワインで軽く夕食を済ませてねた。

チーズが肉厚、バジルが新鮮でおいしかったです。 チューリッヒまで行くICE、バーゼルまでお世話になりました。 ICE1等車内。テーブルの上でパソコンを開いている人がいました。 マンハイム駅、ここからロマンチック街道が始まります。
フライベルク駅、ここよりスイス、フランスの国境沿いに走ります。 スイスの特急1等車内、次の駅が表示されるので助かりました。 駅の前に牛がたくさんいます。 会場となった音楽学校です。

7月9日(月)

今飛行機はロシアの上空を飛んでいる。成田を出てからちょうど半分くらいのところかな。マレーシアにすみだしたのは91年だから、アメリカもヨーロッパも日本からは、12時間近くかかるのだから、大変である。

私は、幸い3列の座席にとなりがいないという、極上の席を得て今回は楽をしている。食事のあと昼寝をし、今次の食事まで少し起きていようかなとおもい、こうして書いている。思えば、ヨーロッパは20年ぶりそんなにいっていなかった。ヨーロッパでは大好きな魚がたべられないので、成田を出る前に鯵、ハマチ、まぐろの寿司をたべた。これからどんな旅が始まるのだろうか、そういえば今回は成田で両替しなかった。大丈夫かな。マレーシアでは、空港に両替があるし、、、なんてなんでもマレーシアを基準に物を考えている。

フランクフルト到着は日本時間の夜中だからあんまり寝てしまってもいけないのかな。なんかかなりいい加減だな。だいじょうぶかな。今 You 've got a mailを見終えた。本当は英語で見たかったけれど、なんかやり方がわからなかったので、日本語で見た。英語でみたところであまり英語はわからないけれど、私は英語の映画は英語で見ることにしている。言葉はわからなくても雰囲気がすきだから。なんかすごくいい映画だった。You've got a mailに私もときめくことがある。でも映画のような素敵なストーリーではないけれど。面と向かってはいえないようなことでも、文章にしてみると伝わる。その逆もあって文章ではかけないことは、直接会うと伝わることもある。昔は、手書きでかいていたのに、今はキーボード。確かに漢字はかけなくなってしまったし、頭の中で文章を組み立てて書くということができなくなった。キーボードを使えば、copy and pasteができるから、何回も消しゴムで消しては書いてなんてことしなくても、それなりにきれいな文章がかける。いいのかわるいのかわからない。でも昔も今も自分の気持ちを伝えるのは、言葉と表情なのだということ。

先ほど少し外を覗いてみた。まだロシアのど真ん中。でも緑が豊かで、街がある。後フランクフルトまで3時間くらい。やっぱりクアラルンプールまでの7時間になれてしまうと12時間は長い。普段見れない映画を見て、ゆっくり寝て。書いて、本を読んで、普段の日常と違うことをするのは、いいことなのかな。

それにしてもアメリカにいくより、ヨーロッパに行くほうが時差ボケはしないなあと思う。なぜならば、今日本は夜の10時前ちょっと夜更かしをしてねるようなもんだから。

フランクフルトに無事着く。荷物は無事着く。でも両替しようと思ったら、手数料が思いのほか高い。5000円で22ユーロ!悲鳴をあげたい。

電車に乗ろうとおもってターミナル1にいったら、切符の買い方がわからなくてオロオロ、なんとか買えた。でもホームまで遠いね。成田やKLの方が近い。来た電車がICE。なんかとってもグレードのに飛び乗った高い電車。空港の次はフランクフルト駅だった。

駅降りたら、雨。ホテルは駅の近くとHPでは書いてあったが、5分くらいのところにあった。見た目も中もこぎれいで感じのよい受付のお姉さんがいたのに、、、エレベーターが壊れていて動かない。ついてる。たべても太らない!荷物を置いてから駅へ水とワインと明日のチケットを買いに行く。どこへ行っても英語を使うのはずうずうしいけれど、所詮ドイツ語もわからないのだから、しょうがない。でも前いったときより英語が通じる。やっぱり時代だね。

駅に行って、水とワインを買う。実は9時ちょっと前に駅のそばのスーパーに飛び込むが、おっさんにだめ!閉店だ?といわれた。そうガイドブックにかいてあった。9時閉店というのは日本では9時でも入れるが、ドイツでは9時には従業員も帰るということらしい。とにかく宿を駅近くにとって正解。日本のようにコンビニはないドイツは駅のそばか駅中にとまるのが一番。

いつもの成田空港第2ターミナル なつかしいマレーシア航空 今日は98番ゲートです。 ロシアの上空 バルト海に入りました。
フランクフルト空港、壁がむき出しですが、なかなかどうして地球温暖化対策しています。 フランクフルト中央駅。ドイツでは一番おおきな駅だそうです。 左はICE特急、右はローカル線ですが、最新型車両。どちらもなかなかスマートです。 フランクフルト中央駅前。 午後9時なのにまだ明るいです。外見は古きよき姿を残して中は、とても近代的。

7月6日(金)

誰かが新聞にかいていた。すべては結果ではない。その過程が大事だと。過程があるから結果がある。だから過程を大切にしなければいけない。

旅の計画は、大変。旅行会社で作ってくれるツァーは何もしなくても、お金を払えば、後はくっついていけばいい。しかしこのたびは、自分ですべて手配しなくてはならないから大変だ。今までの人生を振り返ってみると、修学旅行以外はだいたい自分で計画を立てて、手配してきた。修学旅行だって、高校のときの自由行動はほとんど自分が企画したようなものだ。

さて、今回は宿も大変。遅く間際になって申し込んだのがいけないと思うが、なにしろ、選べない。バスタブはなくてもいいけれど、シャワー、トイレくらいは部屋に欲しいと思って、希望をだしたら、そういう部屋は市内にはないといわれた。毎日電車にのって通ってシャワー&トイレの部屋か、徒歩圏でなしの部屋にするかずいぶん迷った。個室でなくて日本の旅館のような、部屋に6つくらいベットが置いてあるのは、日本円で3000円くらいから。個室だと7000円、シャワートイレがつくと、1万4千円。東京と同じ。なんせ今はユーロが170円、ドルが120円だから仕方ない。ホントに日本って世界じゃバカにされているとしか言いようがない円の価値。

もう一つ言えば、フランクフルトの駅前の三ツ星のホテルも予約したが、こちらは、シャワー・トイレ付きで6800円。おまけにJALのHPで予約したので、マイレージが50マイルついてくる。どんなホテルかわからないけれど、価格だけで比較すると、フランクフルトの大都会より、スイスの田舎のほうが高いというわけだ。

結局宿はみてのお楽しみということにしよう。

7月5日(木)

Pay-Palでの支払いに梃子摺っている。IHSのほうから、Registoration Fee(日本でいうところの参加登録費)の支払いについて、銀行振り込み、小切手などとあわせて、Pay-Palを利用してください。とあった。そこで見てみるとなんか簡単にできそうなので申し込んでみたら、これが1週間以上たつのにまだ使えない。ことの始まりは、まずクレジットカードか銀行口座からお金が引き出されるようになるまで3〜4営業日はかかるということ。やっと使えるようになったと思ったら、今度は、暗証番号を3回間違えた(間違えたはずはないのだが?未だに狐にだまされたような感じ)とかで口座が使えなくなってしまった。そこで指示されたとおり、FAXを送ったら、WEB上はFAXをいただいたら、すぐ確認のメールを送ると書いてあるのに、実際に来たのは3日後。そしてそれからまた調査をしてOKがでれば使えるようになるが、その調査に3〜4営業日かかるとのこと。

電話をすれば、どうも今流行りの中国に転送されているようで、電話の向こうからお姐さんが一生懸命日本語喋っているんだけど、結局結果としてわかったは、この電話は無駄な時間をすごしてしまったということだけ。

お金に関することだから、慎重に事を運ぶ事情はわかったけれど、これでは初めから銀行か郵便局にしておけばよかった。なまじっか手数料を浮かせようと思ったけど、お金の代わりに時間を費やしてしまった。

7月3日(火)

ことの発端は、日本ホルン協会の会報である。最後の最後にJHSアンサンブルに参加しませんかとかいてあるではないか!おりしもおり、4年ほど働いてきた会社を辞めることになり、1ヶ月ほど有給を消化しなくてはならなくなった。お金はいくらあっても足りないので、本当はモバイトコムとかで日雇いをしてもしなければいけない。しかし、息子にあげる予定だった航空会社のマイルがあるぞ。これなら飛行機代はただだ。とりあえず仕事もない。というわけで行くことにした。

だが、落ち着いて計算してみると、シンポジウムの参加費が1日60スイスフラン(1フラン=約100円)それにホテル代が安いところでも、1日7,8千円(大部屋でもいいんだけど、若い子たちと一緒だと眠れない、若い人たちは一晩くらい寝なくても平気だけど、体だけは確実に若くないので)それに毎日の食事が結構高そう。ときたので、もしマイレージで特典航空券が交換できなかったら、やめようと思った。

6月27日仕事の引き継ぎで忙しい中、JALに電話してみた。行きも帰りもシンポジウムのもよりの空港までは満席。そこで諦めれば良いのに、いのししは止まらない!行きはフランクフルト、アムステルダムまでいけるという。帰りはどこも満席。なんでも日本が16日月曜日休みなので混んでいるという。

夜、ワンワールドの他社のサイトを覗いてみる。やっぱりどこもダメだ。キャセイはあったけれど、成田、香港、ロンドン、チューリッヒで31時間もかかる。結局その晩はこのたびはほとんど諦めることに決めた。

6月28日、昼休みにJALに再び電話してみる。もう行きはフランクフルトしかない。帰りは火曜日ならどこでも空いているとのこと。(ちなみに今日7月3日にみてみても私が座る予定の回りはがらがら)ここで諦めれば良いのに、何を血迷ったか、ドイツの友達にフランクフルトから先の格安航空券の相談をメールにしてだした。

これがまあよかったというか、借金地獄のはじまりとなった。6月29日朝起きてみると、メールがきていて、フランクフルトから電車でも5時間だそうだ。飛行機に乗り換えても、どの道電車に一時間くらい乗らなきゃならないから、待ち時間も考えると電車のほうがよいと書いてある。ユーレイルパスを使えば乗り放題。そうか。ならばフランクフルト往復の特典航空券があればいいのか。そこでまた昼休みにJALに電話すると帰りは火曜日ならOKという。そこで夜家にかえってネットで特典航空券をゲットする。次はレジストレーションと宿の確保だ。これがまだてこずっている。

30日最後の出勤日。終わるととても疲れを感じた。今辞めないでもう少し我慢すればいいのにと何人もの人に言われた。今辞めてもすぐ仕事がみつかるわけじゃない。子供たちは今一番金のかかる時期の真っ最中。次男の毎月の仕送り、娘の毎月塾代をあわせると私の給料だけでは足らない。おまけに自分の楽器の返済もまだ終わっていないし、さらに20万近く借金したら、もう返済不可能だ。

でも少し落ち着いて考えてみて、もうヨーロッパにいけるのは最後かもしれない。まとまって休みなどそう取れるものではない。体が動かなくなってしまったらいけないし、お金をためてからなどといっていたら、いつになるかわからない。借金と今スイスにいくことを天秤にかけてずいぶん悩んだ。自分が今どうすれば一番幸せなのか、今なにがしたいのか、今なにができるのか、有給休暇消化中にただだらだらと時間を過ごすのか、それとも次の仕事探しをするか、自問自答を繰り返した。10日間も一人ぼっちになってしまう娘も心配であった。普通の世間から見たら、トンでもない人間、親である。そう世間体を考えたら、こんなことに熱を上げている場合ではない。仕事だってやめないでつづけるべきだ。結局、今行かないで諦めたら、後々あの時行くべきだったと悔やむのが嫌だというのが大きな理由となり、そして子供たちが行ってくれば、行けばいいのに。といって背中を押してくれたのでいくことにした。借金は帰ってきたら、うんと働いて返そう、かえせなかったら、そのとき考えようと決めた。

レジストレーションに記入するのは簡単だが、支払いをPAY-PALにしようとしたら、まだできずにいる。宿は宿で間際に決めたせいか、残りものか、1泊2万のホテルしかない。毎日協会の指定されたサイトの担当者とメール交換しているが、なかなか自分の希望と向こうのオファーがかみ合わない。金さえあれば1泊2万のホテルで問題ないのだが、、、

また現地でのインターネットのアクセスもどうなることやらわからない。一応私のプロバイダーのローミングサービスはi-passなのだが、現地でつなげられるところは、4ヶ所しかない。その場所がちょっと町外れにある。つなげられなければ、現地からのアップは不可能になる。


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